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飛ぶ力学。コンピューター時代の名人芸とは?
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    評価:
    加藤 寛一郎
    東京大学出版会
    ¥ 2,625
    (2012-12-19)
    コメント: 腰巻に紙飛行機からヘリコプターまでとあるけれど、野球のボールからプテラノドンまで出てくる。アスペクト比とかレイノルズ数とか難しく聞こえる概念をわかりやすく解説して、分かった気になる。数式も結構出てくるけれどほとんど四則演算の世界なので読み飛ばせる。

    JUGEMテーマ:アート・デザイン
     比較的暖かい日てしたが今日もほぼ執務室。

     これは少し前にほぼコタツで読了した本ですが、飛ぶ力学。あたけの飛行船プロジェクトの支援者からいただいたものです。

     前にも少し書いた気がしますが、空力の話です。レイノルズ数とかアスペクト比とか概念としては知っていたのですが、バックグラウンドが分かりました。

     グライダーなど細長ーい翼なんですが、要するに翼の抗力というのはほとんど翼端で発生するので揚力と抗力の比を考えると低速でゆっくり飛ぶ機体ほど細長い翼が有利になるわけですね。

     最近の旅客機は翼端渦を押えるためにウィングレットと呼ばれるような小さな翼を付け足したりしていますが、そういう最新の話題には少し乏しい。

     著者は長年東大の航空工学科で教鞭を取られていた方で、1935年生まれということで、もうすぐ八十歳という年齢なので仕方ないかもしれません。

     プテラノドンの話題も出てきますが、最近の翼竜ではケツアルコアトルスのほうがさらに大きいことが分かってきました。セスナ機くらいの大きさで重さは大人の人間くらいという話は前に書いた気がします。この手の翼竜の軽さに較べると人間の到達した技術はまだまだということです。

     いろいろ興味深い話題満載なのですが、ひとつは重量と揚力が三乗と二乗で増える関係で今のジャンボジェット機くらいがほぼ飛行機の大きさの限界だということです。

     あとは材料の技術革新でいかに丈夫な機体を軽く作れるかにかかっていて、最近話題の787が複合素材の固まりみたいになっているのはそういうわけです。

     ともあれ、長さ100mを超える飛翔体というのは飛行船しかありえない。飛行船は二乗三乗法則のおかげで大きくなればなるほど効率がよくなります。亜音速の飛行機はジャンボどまり。

     未来の航空システムは成層圏に浮かぶ超大型太陽熱水蒸気型飛行船テラメリーゴーラウンドと、そこの空港から飛び出す超音速弾道飛行体という気持ちを強くしました。

     あと、途中にプラントルの揚力線近似というのが出てきます。揚力とアスペクト比と翼面積に関する式ですが、天才が解析的に解いたということで、コンピューターがなかった時代は解析的に現象をモデル化することで本質を見通したということです。今はなんでもコンピューターの力業で解いてしまいますが。

     この前読んだモナリザと数学でも、シュレディンガー方程式など量子力学の振動方程式の数学的美しさの話があって、あたけなど全く歯が立たない領域ですが、そういうコンピューターに頼らない天才が時代を開いてきたというのがわかります。その量子力学がコンピューターを可能にし、それに頼ると人間は馬鹿になる?

     飛行機の開発スピードはコンピューターがない時代のほうが速かったと前に書いた気がします。もちろん技術のレベルが今とは全く違うと思いますが、コンピューターに頼らない天才名人の世界があったように思います。

     操縦でも第二次大戦のエースパイロットの技量というのは武道の達人の域だったそうで、だんだん自動操縦が発達して、そんな神業はいらなくなりましたが、それでもパイロットのとっさの判断が事故を防いだ、あるいは一命を取りとめたエピソードもたくさん載っています。

     コンピューターの発達した時代にそれに乗っかった人間の神業はどうなるのか?
    という意味では、現代将棋の世界がひとつのモデルになるかもしれません。

    | 飛行船 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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